ももはももでも水曜日


 今週から新人くんが配属になった。どんな子なんだろうねえ、と話をしていたら、どうやら日本最高学府の卒業らしい。へえええ、なんでうちに来るんだろうね、と話す会社の人たち。そういう人って官僚になりそうなのにね、と口々に大きなお世話。火曜日の午後にはじめて営業所に来たその新人くんは、ひょろっとした風貌にめがねをかけ、なんだか頼りないなあ、という感じ。江國香織の『落下する夕方』の中に、「ナードの語源は知らないが、健吾によれば、がりべんタイプでさえないけれど憎めないキャラクターを、そう呼ぶのだそうだった。」という一文があるのだけれど、まさにそういうナードくん。さらに聞くと、アメリカで生まれて5歳まで育ち、高校は鹿児島ラ・サール、というすごい学歴の持ち主だという。がんばれ新人くん。「勉強と仕事は違うからな!」と言う先輩たちに揉まれて、さてどう成長していくかしら。
 昨日は夫が友達と飲み会だというので、仕事が終わったあと買い物をするかもしれないと思ってハリランのエコバッグをたたんで持参。そうしたら、今月で退職するHさんが得意先から桃を3箱もらったから、と1箱くれる。6個入り。わーい、ありがとうございます、とありがたくいただく。段ボールの箱をどうやって持って帰ろうかと思ったら、ちょうどエコバッグに入る大きさ。なんだかそのためにエコバッグを持っていった用意周到な人みたいで、ちょっとはずかしかった。
 今日はその桃をコンポートにする。普通の桃より産毛がすくないなあ、とは思ったものの、そういう品種なのかもしれないとその考えを打ち消す。湯剥きしてみると、普通の桃より種が小さい。でもそういう品種なのかもしれないと、またその考えを打ち消す。グラニュー糖と白ワインでコトコト煮て、そのまま煮汁のなかで冷ます。そのまま食べたいという夫のために1個だけ残しておいたのだけれど、その残しておいたものを食べた夫、「これ、桃じゃなくてすももだと思うよ」と一言! えええー、だって桃だよってもらったのにー、と言ってはみたけれど、たしかにそうかもしれない。産毛もないし種も小さいし。うわーん。桃のコンポートじゃなくてすもものコンポートになってしまった。まあ、すももでもいいか、とは思うけれど桃じゃなくて残念。つめたく冷やしてデザートに食べよう。ああもも違い。