話しかけてよ月曜日

 今日は別の不動産屋に行く予定だったので、バスで出勤。バスの中で読んでいたのは、角田光代の『この本が、世界に存在することに』。いつものように市役所前で降りて歩きはじめたら、「あの、すみません」と呼び止められた。はい? と立ち止まったら、「今持ってらっしゃる赤いバッグ、一澤帆布のものですよね。いくらくらいするのか教えていただけませんか?」と言う感じのいいおばさん。たぶんこのくらいだと思いますよ、というと、「いいですねえ、そのバッグ。やっぱり私も買おうかしら」とのこと。朝からなんだか嬉しい気分になる。知らない人とほんのひととき言葉を交わすのも、何か縁があるからなのかなあ。仕事はわりと忙しくて、今日の仕事がきちんと終わったのはかなり遅くなってから。明日は繁忙日だからもっと忙しいだろうな。


 仕事が終わったあと、夫と待ち合わせて不動産屋へ。2件内覧してきたけれど、トイレが和式だったり外観が古すぎたり場所がいまいち好みじゃなかったりして、やっぱり昨日の物件を超えるところはないみたい。もうあそこに決めちゃおうか、と夫と話す。さて、これからいろいろと動かなきゃいけなくなりそうだ。古い一軒家だから、いろいろ使い勝手も考えなくちゃ。私たちにとって大事なのは、近くに大きいショッピングセンターがあることでもなく新しくて綺麗な家でもなくごはん屋さんがたくさんあることでもなく、うぐいすやかっこうが鳴く山が近くにあることや田んぼで夜通し鳴くかえるの声が聞こえることや時間がのんびりゆっくり流れる場所なのだ。


 八文字屋でかまわぬの手拭い展が始まると、夏だなあ、と思う。