2007年読了リスト114-120

 さて、こちらでもつづけますよ。


 114。同じことをするかと言われればしないけれど、してしまうかもしれない、とは思ってしまう。同じことをしてしまったら、やっぱり同じように裁判の場で「ありがとうございました」と場違いな感謝の言葉を述べてしまうかもしれない。そして、戻ってきた立場だったら、やはり家族というものに馴染めきれないだろうな、と思う。

八日目の蝉

八日目の蝉


 115。柴崎友香の本は私は結構好きなものとそうじゃないものと分かれるのかも。これはそれほど好きなほうではなかったかな。寝ても寝てもいつでも眠い主人公、というのにはかなり共感するけれど。

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?


 116。なんだかどれも角田さんの実体験のように思えてしまうこの1冊。たしかにずっとついてくる本ってあるのかもしれない。私は自分が売った本に巡り合ったことはたぶんないと思うけれど(確かめるすべもない)、そうやって世界中を旅して回っている本が自分のところに帰ってくるなんていいな。私を知らない世界に連れていってくれる、私の知らない世界を知っている本。


 117。食い意地が張っているのは小さいときからのことで、けれどこの著者の食に関する記憶力には本当に呆れてしまうほど。私にも食べ物の好みというものは如実にあって、たとえばたいていの人が喜んで食べる鰻は好きじゃないし、飲茶以外の中華料理はこの先一生食べなくてもいい。酢豚なんて食べたくもない。食べ物の記憶って、プライベートなものだからこそちょっと覗き見してみたいような気もする。

舌の記憶 (SWITCH LIBRARY)

舌の記憶 (SWITCH LIBRARY)


 118。さるすべりに惚れられる主人公。この綿貫とボートを漕いでやってくる高堂とのかけあいがすごくいい。綿貫が住んでいるような家に、私も住んでみたい。きつねとたぬきに化かされたり、河童が衣を脱いでそこらへんに置いておいたり、家の中にからすうりがなってしまったり、それはそれは愉快な日々だろう。梨木香歩はほんとうに上手い作家だと思う。これはずっと書き続けると本人が言っているらしいし、実際yomyomの創刊号にも書いているから、そっちも読みたい。

家守綺譚

家守綺譚


 119。『舌の記憶』に続いての筒井ともみ。食べ物の好みに比べて服の好みがよりオープンに感じられるのは、それが周りの人の目にいつもさらされているからなのだろうな。

着る女

着る女


 120。野沢尚はときどきなんとなく読みたくなる。10年前の事件に端を発する壮絶な復讐劇。10年経っても人を憎めるというのは、いいか悪いかは別として相当なエネルギーだ。でも、一緒に暮らしていながらそれに巻き込まれていくほうとしてはたまらない。相手の目が自分を通して他の人を見ていたと知ったときの虚しさは経験したくないな。

眠れぬ夜を抱いて

眠れぬ夜を抱いて

 それで、今は『続・今日の買い物。』を読み中。