2007年読了リスト201-204
201。白石さんは何冊か読んだことがあるのだけれど、これは博多弁がなんだか心地よかった。文章で書いてある方言は、どうしてやさしく思えるんだろう。ただ、ストーリーの展開には多少不満。あっちゃんとせいちゃんの生きることに対する姿勢はわかるような気がするけれども、いまいちそれを力ずくででも納得させる力が足りないような気がする。
- 作者: 白石一文
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/06/15
- メディア: 単行本
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202。今まで重松清をそれほど読まなかったのはどうしてなんだろう、と後悔するくらい、この本は本当によかった。野暮用で仙台に行かなければならなかったときのお供に持っていったのだけれど、往復のバスの中で、読みながらぼろぼろと泣けて泣けてしかたがなかった。不器用で朴訥で、今時の中学生にはバカにされてもしかたのないような村内先生が、私にとっても救世主に見える。ここを読んでいる人は知っているかもしれないけれど、私は義務教育の半分以上、学校という場所に行っていない、今で言う不登校児だった。でも、当時の私に村内先生がいてくれたら、そして、「間に合った」と言ってくれていたら、私はくじけずに学校に行けていたかもしれない、と思う。「正しいこと」ではなく「大切なこと」を教えてくれる、とても貴重な先生。間違いなく今年のベスト3に入る1冊だ。
- 作者: 重松清
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/07/01
- メディア: ハードカバー
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203。パートタイム・パートナーという職業が実際に存在するかどうかは別として、私はパートタイム・パートナーを利用したりはしないだろうな、と思う。だって、こんな薄っぺらいデート屋をしているような人、心から信用できないもの。主人公の晶生も、妙に幼かったり達観している部分もあったりしてちょっとアンバランス。それがいい、と思えればおもしろかったのかもしれない。
- 作者: 平安寿子
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2001/10
- メディア: 単行本
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204。最近の小川洋子の書くものは、『博士の愛した数式』からこっち、以前とは少しずつ違ってあたたかみを帯びてきたような気がする。けれど、本作はその以前の小川洋子をちょっと思い出させる作品。9つの、奇妙で、すこし哀しいストーリーばかりの短編集。私がその中でも気に入ったのはイービーの話。不思議で幻想的で、それでもこんな人たちがいるのかもしれない、と思ってしまうような世界。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/09
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