2007年読了リスト201-204

 
 201。白石さんは何冊か読んだことがあるのだけれど、これは博多弁がなんだか心地よかった。文章で書いてある方言は、どうしてやさしく思えるんだろう。ただ、ストーリーの展開には多少不満。あっちゃんとせいちゃんの生きることに対する姿勢はわかるような気がするけれども、いまいちそれを力ずくででも納得させる力が足りないような気がする。

永遠のとなり

永遠のとなり


 202。今まで重松清をそれほど読まなかったのはどうしてなんだろう、と後悔するくらい、この本は本当によかった。野暮用で仙台に行かなければならなかったときのお供に持っていったのだけれど、往復のバスの中で、読みながらぼろぼろと泣けて泣けてしかたがなかった。不器用で朴訥で、今時の中学生にはバカにされてもしかたのないような村内先生が、私にとっても救世主に見える。ここを読んでいる人は知っているかもしれないけれど、私は義務教育の半分以上、学校という場所に行っていない、今で言う不登校児だった。でも、当時の私に村内先生がいてくれたら、そして、「間に合った」と言ってくれていたら、私はくじけずに学校に行けていたかもしれない、と思う。「正しいこと」ではなく「大切なこと」を教えてくれる、とても貴重な先生。間違いなく今年のベスト3に入る1冊だ。

青い鳥

青い鳥


 203。パートタイム・パートナーという職業が実際に存在するかどうかは別として、私はパートタイム・パートナーを利用したりはしないだろうな、と思う。だって、こんな薄っぺらいデート屋をしているような人、心から信用できないもの。主人公の晶生も、妙に幼かったり達観している部分もあったりしてちょっとアンバランス。それがいい、と思えればおもしろかったのかもしれない。

パートタイム・パートナー

パートタイム・パートナー


 204。最近の小川洋子の書くものは、『博士の愛した数式』からこっち、以前とは少しずつ違ってあたたかみを帯びてきたような気がする。けれど、本作はその以前の小川洋子をちょっと思い出させる作品。9つの、奇妙で、すこし哀しいストーリーばかりの短編集。私がその中でも気に入ったのはイービーの話。不思議で幻想的で、それでもこんな人たちがいるのかもしれない、と思ってしまうような世界。

夜明けの縁をさ迷う人々

夜明けの縁をさ迷う人々