2008年読了リスト051-054

 051。昨年亡くなられた河合隼雄さんが倒れたときに女性誌に連載していた小説が1冊にまとまったもの。この本はid:handzeepさんのところで知った。河合隼雄さんの本はずっと前にたしか2冊くらい読んだことがあったはずなのだけれど、ぜんぜん覚えていない。この本は自分の少年時代をもとにしたフィクションで、とにかく主人公のハァちゃんが優しい子だということがよくわかる。文章もとても愛情あふれたもので、河合さんの少年時代はこんなに愛されたものだったんだなと実感する。余談だけれど、私も小さいときからはーちゃんと呼ばれていたので、なんだかくすぐったい思いで読んだ。

泣き虫ハァちゃん

泣き虫ハァちゃん

 052。おもしろいという評判は聞いてはいたけれど、ここまでとは思わなかった。いやー、おもしろかった! 今年読んだ本の中で、まちがいなくナンバー1だ。ページ数だってかなりのものだし、登場人物も多い。けれど絶対に飽きさせない文章の巧みさ。仙台出身の時の首相が、凱旋パレード中に暗殺される。国道や新幹線は止められ、仙台は封鎖。大々的な報道がなされる中、翌日にはもう容疑者の名前が挙がる。けれど、それは何かとてつもなく大きいものがその容疑者になってしまった人にしかけた罠だった。どうやって逃げ延びるのか、読んでいるほうまで手に汗握ってしまう。一緒に体験してしまうのだ。文章は軽妙洒脱なのに、軽いばっかりじゃない。現代の問題点、遠くない将来こうなってしまうんじゃないか、という危惧感を見事に文章にしている。それでいて読後感はとてもさわやかで、読みすすめたいけど読み終わりたくない、という矛盾した気持ちを抱えながら読んだ。おもしろいので、ぜひぜひ読んでみてください。どうしても手元に置いておきたくなったので、今日丸善で購入済み。

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

 053。圧倒的なエンターテインメントを堪能したあとに読む本は、やっぱりどうしても物足りなく感じてしまう。すらすらっとうわべで読んで終わり、という読み方になってしまって、あんまり物語に入り込めなかった。私が共感できる登場人物がいなかったからという理由も大きい。

四つの嘘

四つの嘘

 054。季節性鬱病という病気があるということは、知識としては知っている。でも、実際に患っている人に会ったことはないし、周りにもいない。だからどういう状態なんだろうと思っていたら、24時間のうち22時間寝たきりの状態になったりするらしい。看病する人も大変だ。今の重松清よりも、若かったときの作品だけあって文章自体にまとまりがない気はするけれど、根底に流れているのが家族愛だということに変わりはない。

四十回のまばたき (幻冬舎文庫)

四十回のまばたき (幻冬舎文庫)

 今日買った本は、前述した『ゴールデン・スランバー』と、『りんこ日記2』、Arneの22号と23号、それとずっと気になっていた『紋切り型 雪之巻』!