2008年読了リスト071-080

 071。タイトルに惹かれてずっと気になっていた本。やっと図書館で順番が回ってきた。何もかもなくしてしまっても、一生懸命自分のできることを考えて向き合っていく倫子がすごくけなげでかわいい。根本的に嫌な人がいなくて、みんな優しい気持ちの持ち主。読んでいてあたたかい気持ちになる。作家が山形県出身の人で、あちこちの書店に著者本人の手書きのポップがある。そのうち買おうかな。

食堂かたつむり

食堂かたつむり

 072。うーん、この本、読んでいてなんだか嫌な気分になる本だった。主人公がひどく傲慢で鼻につく感じ。才能に恵まれるということはこんなふうに人の気持ちをとげとげしくさせてしまうのかな、と思ってしまうほど。あんまり気持ちが沿わなかった。

RUN!RUN!RUN!

RUN!RUN!RUN!

 073。以前も読んだことがあるのだけれど、また読みたくなって。角田さんが会いたい人と対談するのだけれど、さすがに角田さんが会いたい人なだけあって、みんなどこか底が抜けている。特におもしろいのは魚喃キリコとの対談。石田千さんが本を読まないというのもすごく意外だったし、栗田有起さんがバカボンの世界に住みたいというのも意表をつかれる。みんな、すこしずつおかしくて、それでも筋が通っている感じが好ましかった。

酔って言いたい夜もある

酔って言いたい夜もある

 074。猫と旅にまつわるエッセイ。こんなにたくさんの猫と関わって、ほんとうに著者は猫が好きなんだなあ。でも猫を飼うということは命を失うということでもあって、それだけ多くの死に接することにもなる。それでも、それを含めて猫と生活している様子がうかがえて、この人に飼われる猫は幸せだろうなと思う。

のりたまと煙突

のりたまと煙突

 075、これも再読。サンドイッチ屋さんで働くオーリィくん、なんだか彼の容貌は目に浮かぶ。あおいさんに教わったスープ、きっとおいしいんだろうなあ。

それからはスープのことばかり考えて暮らした

それからはスープのことばかり考えて暮らした

 076。装丁の写真がきれいだったので手に取った本。するするっと読めてしまって、なんだかテレビの脚本を読んでいるみたいだ、と思ったら、著者は現に脚本を書く人だったのね。どうりで、と納得してしまった。

ROUTE134

ROUTE134

 077。平さんが30年近く前のことを思い出しながら書いたフランス留学記。おもしろおかしくて、でも留学生の物寂しさや切なさも感じられて、なんだか複雑な心境になってしまう。留学にまつわるエピソードは人それぞれなはずなのに、それでもわかるわかる、と思ってしまうのは、平さんの筆力ゆえなのだろうな。

セ・シ・ボン

セ・シ・ボン

 078。武満徹の曲はそれほど知らないし、関わった映画音楽もほとんど知らない。それでも名前だけはしっかりと覚えていて、こんな人生を送った人だったんだ、と興味を持って読んだ。いろいろな人と関わって、人脈も豊かで友人も多くて、金銭的にはそうでもなくても、ほんとうに恵まれた人だったんだなと思う。音楽にかける熱意もすばらしい。

作曲家・武満徹との日々を語る

作曲家・武満徹との日々を語る

 079。どこだったかは忘れてしまったけれどネット上で見て、図書館にリクエストしていた本。これが、ほんとうにいい本!
 著者はマイクロソフトのエグゼクティブの職を捨てて、アジアの貧しい地域に本を送ろうというNPOを立ち上げるのだ。その行動力、信念の強さ、どれをとってもほんとうにすばらしい。小さいときから本に囲まれ、ふんだんに本を読ませてもらえた環境で育つということがどれほど幸福なことか、あらためて身にしみた。「最悪なのは何もしないこと」という著者の言葉にはずしんときた。さっそく、Room to Read*1に寄付の手続きをしようと思っている。今年のベスト3に入ること間違いなしだ。この本も後日購入予定。

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった

 080。うーん、なんなんだろう、この不穏な感じ。決して幸せじゃないと思うのに、ふたりだけの世界で生きることが最上の幸せにも思えてしまう文章。花はそのあとちゃんと幸せになれたんだろうか。こんなに閉じられた世界は、健全じゃないと思うのにこのふたりにとっては健全なんだよなあ。正しい、っていう概念がうすっぺらく思える。

私の男

私の男