最近読んだ本

ピンボケの写真も多いし、高山なおみさん本人のこまこました字だって上手だとはとても言えないけれど、そんなことを差し引いても好ましい1冊。よそのうちはおもしろいけれど、よそのうちのごはんもとてもおもしろい。

チクタク食卓〈上〉

チクタク食卓〈上〉

「旅情」という言葉にはどこか湿っぽさがつきまとうけれど、この本に限ってはからっとした雰囲気が漂う。池澤夏樹といえばギリシャかフランス、という先入観がしみついてしまっているせいで、イギリスやフィンランドの記述がとても目新しくおもしろかった。「移動が含む出会いの可能性に騙されるのだ。だから、ある種の人間は一つの土地で人生を全うすることができない。移動に終始して終わる者がおり、定住生活を送りながらもそわそわと他の土地のことを考え落ち着かない者がいる。動くことには魅力がある。」
明るい旅情 (新潮文庫)

明るい旅情 (新潮文庫)

最も触れたくなかったであろう、自分の母がアウシュビッツの看守だったという過去をここまでさらけ出せるとは。書くことで、著者はすこしでも救われたのだろうか。タイトルの「黙って行かせて」がすべてを表していることに、ひどく胸をしめつけられる。
黙って行かせて

黙って行かせて

罪と罰、だが償いはどこに?

罪と罰、だが償いはどこに?

自然と一対一で静かに相対している著者の様子が目に浮かぶよう。自分の知らない世界には、こんなにも好奇心をかきたてられることがまだまだあるのだと思うと嬉しくなる。
水辺にて―on the water/off the water

水辺にて―on the water/off the water

ついうっかり自分でも使いそうな言葉があったりして、ああこれもFCとしてはひっかかるのかあ、などとのんきに思ったり。最後の方の配偶者を何と呼ぶか、というところはおもしろかった。
物は言いよう

物は言いよう