民間療法と信念

 Twitterにも書いたのですがね。
 民間療法を全否定しているわけじゃないけど、ときどきものすごく信念を持った人を見ると、ちょっと引いてしまう。ベジタリアンやマクロビもそうだし、ホメオパシー、アロマ、ハーブ、シュタイナー教育とか。そして、もっと言えば、「ちょっと引いてしまう」自分に対して、後ろめたい気持ちもある。なぜなら、私もそっちにはまりかけた人間だから。通信教育でマクロビについてかじったこともあるし、ホメオパシーの本を読みあさっていた時期もあるし、シュタイナー教育についても関心があったから。
 でも、最近、あんまりそればっかりにこだわっている人を見ると、はてな、という気分になる。そういう人に限って、たとえば「最近ちょっと頭が痛くて」と言おうものなら、「頭痛ならアロマはこれ!」「ホメオパシーはこれ!」「マクロビならここからの排毒!」「ハーブならこれ!」とか、押しつける傾向が強い。「頭が痛い」っていう事実を言っているだけで、あなたに助言は求めてないんですけど? と思う。もちろん、民間療法にもいいところはたくさんあると思うし、事実よくなることだって多いと思う。食べ合わせとか、風邪を引いたときはあたたかくして寝るのがいいよ、なんていうのは正解だと思うし。ただ、それだけじゃないんだよなーとも思う。私の場合、脳の奇形のせいで頭が痛くなることもあるし、それは開頭手術をしないと治らない。それを「頭が痛いっていうことはこういうことだから」とか言われても、そうじゃないのにー、としか思えない。そういう頭痛のときにアロマを焚いて、気がまぎれることはあっても治りはしない。結局痛みは薬でしか抑えられない。ヘルニアだって、切らなければ治らなかった。脳の奇形やヘルニアは自然治癒力には頼れない。たしかに私だって薬はあんまり飲みたくないし、できれば病院にだって行きたくない。だけど、西洋医学にしか頼れないことだってあるのだ。
 マクロビに感化されていたときは、私も頑なに肉は食べないようにと思っていたし、夫にもそうしてほしかった(今考えると、夫には申し訳ないことをしたなーと思う)。白砂糖もやめたし、お米は玄米にした。けれど、デスクワークの私と体を動かす仕事の夫ではやっぱり必要なエネルギーはぜんぜん違うし、私が肉なしでよくても夫はそうはいかなかった。今では普通に肉も魚も食べる。白砂糖はきび砂糖や甜菜糖にしたけれど、これは白砂糖より好きだからだし、玄米も最近は食べていない(うちは夫の父の実家でつくったお米を分けてもらっているので、精米した状態でもらうことが多いから)。でも、それで別に肉を食べていなかった時期より体調が悪いということはない。厳格なベジタリアンやマクロビをやっている人から見たら、「まあなんて悲惨な食生活を!」となるのかもしれないけれど、病気じゃないし。健康であるか、健やかであるかということの判断基準はあくまでも自分であって、他人が判断することではないから、行き過ぎてしまうことも多いんだろうなあと思う。ちょうど、拒食症でがりっがりにやせた人が「私ぜんぜんやせてないよ!」と言ってしまうように*1。ある程度の効果はあると思うけれど、一線を超えてしまうとちょっと危ないよなあ。宗教みたい。「自然な暮らし」とか「自然な育児」とか銘打っている人やブログをみると、どこが自然なんだろうと思ってしまう。自然自然って、自分がすごくがんじがらめになってるじゃーん。
 偉そうに言っているけれど、私も「これがいいよ」と言われると疑いもせずにそうかそうか、と聞いてしまうほうなので、自戒をこめて。盲目的になるのではなくて、ちゃんと自分で考えなきゃなー。

*1:そしてこれは私の実体験なのだ。体重35キロを切っても、「ぜんぜんやせてなんかいない」と本気で思っていたのだから恐ろしい。そして今は反対にコロコロ丸くなってますがねー。トホホ