読了

 独特で、すごく繊細な感受性の持ち主という印象。地上20センチのところをふわふわ漂っていそうで、でもしっかり地に足がついているのだからかなわないなあと思う。どこまでいっても静かな風景。たとえ天候がうんと悪くなったとしても、じたばたするのではなく、あえて濡れながらじっとしているような感じ。不思議な印象の本だ。

黒雲の下で卵をあたためる

黒雲の下で卵をあたためる

 島本作品の中では、私はこれが一番すきかもしれない。行きつ戻りつしながら、お互いがお互いを支えとし合って、ほんのすこしずつでも前に進んでいく様子が、ほんとうに上手に書かれていると思う。ちょっとでも強く触ったりしたらあっけなく壊れてしまいそうな脆さと危うさの同居する感じ。『波打ち際の蛍』という書名のつけ方も、いいなあと思う。同じような経験があるので、麻由を自分に投影させて読んだからか、とてもいい作品だった。
波打ち際の蛍

波打ち際の蛍

 スヌーピーというキャラクターはずっと前に知っていたけれど、ピーナッツというマンガはまだ読んだこともない。のほほんとしたスヌーピーにチャーリーブラウン、ぱきぱきしたペパーミントパティに毛布を引きずるライナス。思っていたよりずっとずっと深いものなんだなあ。なるほど、とひざを打ちたくなるような言葉がたくさんあって、侮れない。ピーナッツをずっと訳してきた谷川さんだから言えることと、たくさんの患者さんと関わってきたからこその経験の裏打ちがある河合さん、ふたりの対談も腑に落ちるところがたくさん。手元に置いておきたい。
誰だってちょっと落ちこぼれ スヌーピーたちに学ぶ知恵

誰だってちょっと落ちこぼれ スヌーピーたちに学ぶ知恵

 「NOTE&DIARY Style Book vol.4」も買って読んだ(なぜか書影が出ない)。文房具って楽しいねええ。