2008年読了リスト002-004

 まだまだペースが遅い。
 002。絲山秋子さんの書くものは結構好きで、既刊のものはわりと読んでいるほうだと思う(サイトの日記も好きだ)。好きな作家さんが食べ物について書いたエッセイがあると聞くと、それはもう読みたくてたまらなくなる。つくづく私は人の日常に興味があるのだなあ、と思う。絲山さん自身はそれほど食に興味がないような書き方をしているけれど、なかなかどうして、ここまできちんと追求するのって食に興味がないとできないような気がする。

豚キムチにジンクスはあるのか―絲的炊事記

豚キムチにジンクスはあるのか―絲的炊事記

 003。最初にこの本のタイトルを聞いたときには、何だそのタイトル、変なの、って思ったのだけれど、前言撤回。いやー、おもしろかった。今クールのドラマになるから、ドラマを見る前に原作を読み終わりたかったのだけれど、間に合ってよかった。これを読んでいると奈良公園の鹿を思い出す。鹿と狐と鼠、なまずに鹿島大神宮、おまけに十二支や卑弥呼までからんでくる壮大なスケール。けれどそれがいい具合にまとまっているので、読んでいてちっとも違和感を覚えない。奈良公園の鹿にこんな鹿がいたらさぞかしおもしろいだろうけれど驚くだろうなあ、と思う。おもしろくて一気に読んだ。万城目学ははじめて読んだのだけれど、ほかの本も読んでみたい。『鴨川ホルモー』もちょうど借りてきてあるし。

鹿男あをによし

鹿男あをによし

 004。米原万里さんは、通訳としてでもなく、作家としてでもなく、テレビのコメンテーターとしてはじめて知った。印象深い顔で、ロシア語の同時通訳として働いていたということを知ったときは、ロシア語というのがひどく似合う気がして納得したのだった。この本は米原さんがプラハソビエト学校に通っていたときの同級生にまつわるエピソードと、その後の話が書いてある。ソ連近辺の国は、米原さんがプラハから帰国したあと激動の時代を迎える。それに振り回され、独自に道を開いていく人たち。そしてそれを冷静な目で見つめる米原さん。ご存命のうちに読んでおけばよかったと思う。

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ)

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (文芸シリーズ)