2008年読了リスト013-018

 013。今回の直木賞候補作のうちのひとつ。今回の候補作は、なんだかどろどろしたものが多そうな中で、唯一明るい方向へ向いているかな、と感じた本(もっとも、これ以外は全部未読だけれど。ひとえに私の独断と偏見による)。ただ、そのどろどろしていないところが今回の賞レースでは不利に働いたのかな。私はおもしろかったけれど。

ベーコン

ベーコン


 014。昨年亡くなってしまった大庭みな子さんを介護したダンナさんが書いた介護日誌。いくら夫婦でも、老々介護は本当に大変なものだと思う。特にこのみな子さんみたいに、いくつもの病気を一気に抱えてしまうと。不満を言ったり声を荒げたりしながら、それでも根底にはあたたかい愛情と思いやりがあふれていて、着実によくなっていく過程が見えると、読んでいるこちらも明るい気分になる。

終わりの蜜月―大庭みな子の介護日誌

終わりの蜜月―大庭みな子の介護日誌


 015。今私が腹を立てるのは何に対してだろうなー、と考えてみたら、挨拶をちゃんとしないことと時間に遅れることだな、という結論に達した。特に時間にルーズな人って、直らない傾向にあると思う。必ず遅れてくる人って、それだけでちょっとポイントが下がってしまう、私にとっては。「○時に行くから」って言って、その時間に来たためしがない人とか。

ああ、腹立つ (新潮文庫)

ああ、腹立つ (新潮文庫)


 016。前に読んだものがおもしろかったから借りてみた米原万里さん。私、この人の書く文章がとても好きみたいだ。はきはきと歯切れよく書いてあって、ユーモアもあってそれでいてちょっとシニカルな部分もあって、そのさじ加減がすごく絶妙。実家にも1冊あったので持ってきた。今並行読みをしているさいちゅう。

真昼の星空

真昼の星空


 017。引き続いて米原万里さんの本を読んだ。私も英語がとても好きで、通訳になりたいなあとぼんやり考えたこともある(でも、今となってはなりたいと思っても無理だったなあと思う)。常に勉強だし、辞書を片手に興味のない分野についても頭に入れておかなければならないとか、第一線で活躍していたからこそ書ける通訳の裏側を垣間見られるのがとても嬉しい。お亡くなりになったのがとても残念。もっとこの人の書いた文章を読みたかった。

ガセネッタ&シモネッタ

ガセネッタ&シモネッタ


 018。須賀敦子の書くものは、だらっと腹這いになったりベッドで寝転びながら読んだりしてはいけないような、ちょっとぴりっとした雰囲気が漂っている。きちんと座って背筋を伸ばして読みたい感じ。そして、実際そうやって読まないと、私自身が文章に負けてしまう気がする。こんなに真摯に日本語や文学に対して向き合った文章を書く人がもういないというのは、とてもさみしくて残念なことだと思う。

塩一トンの読書

塩一トンの読書