2009_007「レイチェルの結婚」

 土曜日の夜、レイトショーで「レイチェルの結婚」を観てきた。ずっと観たくて、でもなかなか山形では上映しなくて待っていた作品。姉のレイチェルの結婚式のために、リハビリ施設から一時帰宅した妹のキム。表面上はなんとか仲良くやっているけれど、裏に渦巻くそれぞれの感情は10年前から止まっている。家族だからこその歪み、愛情、すれ違い。みんながそれぞれに過去の感情にふたをしようとして、懸命に前を向いていこうとする真摯さと滑稽さ。今まではまるっきりの他人だった人たちが結婚という儀式を通して家族・親族になっていく数日間を描いたもの。途中からスクリーンを見るのがつらくなってしまうくらい、キムの気持ちもレイチェルの気持ちも手に取るようにわかって、何度か涙がこぼれた。赤の他人であれば、ただ憎むだけで済んだ感情が、なまじ相手が家族だからこそやり場がなく、持て余してしまう。そんな感情の揺れが、あちこちで描写されるそれぞれの登場人物によって語られる。
 家族って、甘えられもするけれど、やっぱりやっかいな存在だとも思う。でも、それでも圧倒的に味方のはず。そして、いつかはその家族の庇護の下から出て行かなくてはならない。ラストシーンのキムの表情が、それを悟ったことを雄弁に物語っていて、またそれが泣けた。アン・ハサウェイ、すごくいいです。いろんな人に観てほしい、と思う1本。パンフレット買ってくればよかったなあ。まだ9月だけど、今年のベスト1。