読了本

 ドラマになったガリレオのイメージが強すぎて、どうしても湯川が福山にしか思えない。柴咲コウしかり、北村一輝しかり。湯川はもっと小汚い感じをイメージしていたのだけれど、もうそうはならないのだろうな。科学という目で事件を見て、ただ捜査をしているだけでは思いもつかないところから事件へのとっかかりを考える湯川。かといって決して科学だけではなく、人間くさいところもあるのがよかった。たしかに、映像化しやすい作品ではあるのかも。

ガリレオの苦悩

ガリレオの苦悩

 京都には「あやし」という雰囲気がよく似合う。こういう、人間ではないものがどこかで密やかにうごめいているような気がするのは、京都の奥深さだよなあ。ちょっと湿っぽいような、お蔵の奥深くにありそうな話。表題作のナツメさんがすごく魅力的で、ナツメさんがその後どうなったのかを知りたかった。魑魅魍魎の跳梁跋扈、という言葉がよく似合うような短編集。
きつねのはなし

きつねのはなし

 静かだけれど光は強く、しかも内なる光という感じ。どこまで行っても交わることはなく、それでも一緒に歩くことはできるのだという思い。世界と自分との寄り添い方を、そのものずばり説いているわけではないのに、そんなことを考える。表題作の冒頭の文章が、なんといっても素晴らしい。迷いがあるときに読んだら、そのときどきに答えをもらえる本のような気がする。
スティル・ライフ

スティル・ライフ

 セロトニンドーパミン、最近よく聞く言葉だ。だるまのようにストレスをやり過ごし、何回でも起き上がるという強さ。私はストレスに弱く、また打たれ弱いことも自覚しているので、自分でストレス耐性を高めていかなければならないなあと思う。ストレス耐性は一日にして成らず。地道に毎日行動することが大事だなと思う。
ストレスに強い脳、弱い脳 (青春新書インテリジェンス)

ストレスに強い脳、弱い脳 (青春新書インテリジェンス)

 事件みたいなものや大きい出来事は何も起こらないけれど、日常は淡々と過ぎていく。私が新卒で就いた職業は事務職ではなかったけれど、まるで自分が一緒に新人時代を過ごしているような気分になる。コピー取りやお茶くみ、書類のシュレッダーかけ、就業時間中に食べるお菓子、やりがいのあるとはあまり言えない仕事でも、それが嫌いじゃない感じ。10年前だったら、我がことのように感じられて、もうすこし違った感想を持ったのかもしれないと思うと、ちょっと残念な気もする。
フルタイムライフ

フルタイムライフ