読了

 仕事はしているけど出世コースからは外れた。趣味はあるけれど、他の人には言えない。彼氏はいるけれど、結婚を具体的に考えているわけではない。そんな中途半端な幸代が、ひょんなことから会社の裏歴史を紐解き、裏社史としてまとめていくことになる。しをんちゃん、すごく楽しんで書いたんだろうなあ。腐女子、オタク、ボーイズラブ、としをんちゃん要素が満載。でもそれがばらばらの印象にならず、行き着くところできちんとおさまるというのもしをんちゃんの力量ならでは。どのキャラクターにもどこか共感できるので、読んでいて楽しかった。

星間商事株式会社社史編纂室

星間商事株式会社社史編纂室

 読了して、結局なんだったんだ、という感じ。どうも消化不良。篠田節子とは相性があんまりよくないのかなあ。
ゴサインタン―神の座

ゴサインタン―神の座

 再読。ただ走るだけの小説なのに、その「ただ走るだけ」がこんなにさわやかだなんて。究極の個人競技に思えるけれど、それでも一緒に走ることの尊さ。お互いいい刺激をもらいあって成長する新二と連がすごくまぶしかった。南関東の決勝は、まるで自分が走るみたいな緊張感だった。ここからが、本当のふたりのスプリントランナーとしての始まり。続きを読みたいくらいだ。
一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

一瞬の風になれ 第一部 -イチニツイテ-

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

一瞬の風になれ 第二部 -ヨウイ-

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-

一瞬の風になれ 第三部 -ドン-

 川上的ガールズトーク、これ以上上手い言葉はない。あるある、わかるわかる、そうそう、共感の嵐。きっとこれを男性が読んでも、あんまりピンと来ないのだろうなーという類の本。わざわざ言葉に出して言うほどのものではなくても、毎日確実にたまっていく違和感や不満を、気を使うことなく吐き出せる場所が「これでよろしくて?同好会」なのだろう。夫婦も家族も独特だからこそ、一般的な回答が当てはまらないから、答えをひとつずつ見つけるしかない。嫁という立場への不満と違和感の表現の仕方が上手い。そして「買い物道」!それだけでやられる。
これでよろしくて?

これでよろしくて?

 今は『私小説 from left to right』を読み中。