読了

 過ぎたこととして書いてあるからこちらもおもしろく読めてしまうが、実際の躁うつ病はもっと凄絶なものだっただろうと想像がつく。株を売買し、日本から独立してマンボウマブゼ共和国を建国し、そして破産までしてしまうなんて。本人はもちろん、否応なしに巻き込まれる家族だって、ほんとうに大変だ。それを大変と感じさせないように語っているのがすばらしい。もっと苦労をなさっていても、こんなおおらかに振り返れるなんて、懐が大きい人たちだ。笑いを抑えられないところもあり、ドクトルと娘の由香さんに興味を持った。

パパは楽しい躁うつ病

パパは楽しい躁うつ病

 書くことを職業にしている人たちにほむほむが問いかける「どうして書くの?」という疑問は、もうそのものずばり、言葉通りの意味で本質を問うているのだと思う。同じような意味をあらわす言葉があふれる中で、どうしてその言葉を選んだのか、どうやって言葉を積み上げてひとつの文章にしていくのか、頭の中の、地道で繊細な作業をちょっとだけ覗き見しているような気分。対談の相手によって、文字組みやフォントが違うのもおもしろかった。
どうして書くの?―穂村弘対談集

どうして書くの?―穂村弘対談集

 とかく東洋医学代替医療に傾倒している人は「薬は悪だ」と主張することが多く、そのあまりの頑迷さに幻滅することも多いのだけれど、この著者は西洋医学との両立共存を目指しているのが、個人的にはとても好感が持てた。私自身ひどい冷え症で、冷えているかどうかのチェックでは当てはまらない項目を探す方が難しいほど。自分の生活習慣や今までの積み重ねで体が冷えているのだということを自覚して、寿命が尽きるまで自分の体に責任を持つために、本腰を入れて冷えの改善に取り組んでみようと思う。
心もからだも「冷え」が万病のもと (集英社新書 378I)

心もからだも「冷え」が万病のもと (集英社新書 378I)

 傍若無人な陣内と友人の鴨居、ふとしたきっかけで知り合った永瀬とベス、彼女の優子、社会人になった陣内の後輩の武藤。みんなそれぞれ共感できたり魅力のあるところがあって、永瀬はとてもかっこいいけれど、私はたぶん優子と似ている。ベスに本気で嫉妬しちゃうところとか、ツッコミ体質なところとか。陣内はあまり深く付き合いたくない人に見えるかもしれないけれど、たぶん、こういう人がいちばん芯が通っていてかっこいいのだ。どんなときでもどんな人に対してもぶれない強さ。ほのぼのしているのにときどきとげもあって、バランスがよかった。
チルドレン

チルドレン