読了

 1巻とは趣がだいぶ違った、急転直下の展開。音楽を楽しむ独奏はいいけれど、周りを見ずにひとり突っ走ってしまう独奏では、いずれ破綻が来るのは目に見えていること。大人になった自分が、高校生の頃を振り返って書いているのだからあたりまえなのだけれど、みんな若く、青い。3巻で、本当の音楽を取り戻せるのかがすごく気になる。苦い経験をするからこそ成長するんだとはわかっていても、なお重い。

船に乗れ!(2) 独奏

船に乗れ!(2) 独奏

 大阪の地理に詳しい人だったら、もっとおもしろかったのかもしれないなと思う。簡単なものでいいから、大阪の地図を載せてほしかった。それはともかく、最後まで読みきるとおもしろさがわかる。前半は淡々と物語が進むので、正直すこし退屈に感じることもあったけれど、後半はぐいぐい。大阪という土地柄だからこそ成り立つ物語。これが他の土地だったら、いささか説得力に欠ける感じがする。大阪ならではの、父と子の結びつき。映像化したらおもしろいだろうなあ。
プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ

 ミステリーなのだろうけれど、ほのぼのとした読後感がよく、読んでいてなんとなく心があたたかくなった。久里子の葛藤と、案外しっかりした歩み。ちゃんと自分の道を歩けてるよ! と応援したくなってしまう。赤坂さん、ひとくせもふたくせもありそうな人だけれど、隠し持っている優しさが感じられる。うっかりこちらから読んでしまったので、現在『賢者は…』を読み中。
ふたつめの月

ふたつめの月

 ううむ、どうも違和感がぬぐえない…と思っていたのだけれど、他の方の感想もやっぱりそんな感じ。登場人物の誰にもそんなに魅力を感じず、感情移入もできないのでつらつらと文字面をなぞって読んでいた。どうも中途半端で、広げた風呂敷がきちんとたためていないような印象を受けた。
逆転ペスカトーレ

逆転ペスカトーレ

 続刊を先に読んでしまったので、老人の名前に「ん?」という思いを持ちながら読み進んだ。やはり、こちらの久里子の悩みの方が、『ふたつめの月』より若い。同じように葛藤していても、きちんと久里子は成長している。アンとトモが家に来た理由もわかったし、やっぱり順序だてて読むべきだったか。相変わらず読後感はほのぼのとしていて、久里子のその後を知りたくなる。
賢者はベンチで思索する

賢者はベンチで思索する

 『日々ごはん11』を買ってあるのに、図書館から次々に本を借りてきてしまうのでなかなか手がつけられない。自分が悪いんですけどね。