山形交響楽団第200回定期公演

 1972年に、地方の小さな一都市でしかない山形にプロのオーケストラができてから37年。その記念すべき200回定期公演に、母と一緒に行ってきた。山響といえば、私にとってはスクールコンサートが最初の出合い。小学校の、音響なんてとんでもないような小さな体育館にぎっしりと来てくれたオーケストラの人たちがすごく大きく思えたんだったなー。
 今回の定演は、山響ゆかりの指揮者が4人、それぞれ1曲ずつ指揮をするという変則的なスタイル。それと、いつもなら黒のドレスのはずの女性が色とりどりのドレスで登場。華やかだった。ついでに、会場はどこを見ても空席のない超満員。熱気でテルサが暑かった。

 もともと、この「タンホイザー序曲」は大好きな曲。それを黒岩さんの指揮で聴けるのはとてもうれしかった。どっしりとした静かな音から始まる。最初からぞわぞわっと鳥肌が立ってしまい、涙ぐんでしまうほど。いちど生で聴いてみたいと思っていた曲だったから、本当に絶好の機会だった。ホルンやトロンボーンの柔らかい音に、その裏で鳴るヴァイオリンの難しそうな旋律。管楽器の上手さがすごく目立った。

  • 佐藤敏直「星と大地(つち)とによせる舞曲」指揮:工藤俊幸

 工藤さんの指揮を見るのは久しぶりのような気がする。作曲した佐藤さんは鶴岡出身、そして指揮の工藤さんは酒田出身。きっと山形の自然を思い出しながら作った曲なんだろうなあと思いながら聴いた。うーん、そして、やっぱり現代音楽はよくわからない…(ぼそぼそ)。どう解釈していいのかわからないよ? でも、おもしろい曲だった。密度が濃かった感じ。

 山響の設立者である村川千秋さん。毎年2ヶ月間だけ、フィンランドに滞在していた経験があるのだという。山形とフィンランドで共通する自然の美しさと厳しさを体験してこそ、シベリウスを振れると思ったからとのこと。8年ぶりくらいに山響を指揮するということだったけれど、演奏する団員の人たちもいっそう熱が入ったような演奏だった。この曲、いいなあ。CD探してみよう。

 華やかで躍動感あふれる「火の鳥」に、明晰な飯森さんの指揮はよく合うと思う。第九をうたったときもそうだったけれど、すごくわかりやすい指揮をする人、という印象。メリハリがあって、エネルギッシュ。飯森さんの指揮で、今度は「ペトルーシュカ」も聴いてみたいなあと思う。ストラヴィンスキーは飯森さんにとって節目に指揮をすることが多い作曲家だそうで、かえってブルックナーよりこっちのほうが合ってるんじゃない? と思ったり思わなかったり。
 たっぷり2時間くらい、本当におなかいっぱいになるまで音楽を聴いた。指先まで音がつまって、振るとちゃぷちゃぷ音がしそうな感じ。母ともども大満足で帰宅。それから数日たった今でも、頭の中で鳴り響くのはタンホイザー序曲なのだった。